
2006年01月24日
島菜の挑戦

島菜の挑戦
全メニュー化学調味料使用せず!
沖縄食堂島菜は二〇〇五年一月に『新しい食堂』を目指し那覇市新都心にオープンしました。『着飾った特別の食事ではなく、毎日でも気軽に来店できる日常の中の食事を手頃な価格で提供する場所』という食堂の定義に、女性一人でも安心して利用できる雰囲気・野菜中心の健康的なメニュー・安心できる洗練されたサービスという島菜らしい新しさを付け加えて営業を行っております。
オープン以前より化学調味料を使わない料理の提供を目指し、メニューの研究・開発を進めておりました。理由は素直に採りたての旬の野菜や他の食材の本来の味を楽しんでもらいたいという気持ち。手間と時間をかけて、しっかり天然の素材からダシをとるということは、化学調味料のない時代の人たちとっては当たり前のことだったはず、それを沖縄食堂 島菜で実践して料理を提供しようと試みたのでした。
化学調味料は大変便利な調味料です。なにより簡単に早くまた安定した味で料理を作ることができます。家庭でも手間と時間をかけずに美味しい味付けをすることができるでしょう。「化学調味料=インスタント食品」というようなイメージがありますが、カップラーメンもレトルトカレーも最近は本格的な味のものが数多く登場し、これでインスタント?というような美味しさを簡単に提供してくれます。実は私たち現代人の舌は化学調味料の味に慣れており、化学調味料の味自体を美味しいと感じてしまうことも多いようです。同時に使いすぎると誰が作っても同じ味、何を食べても同じ味となってしまってしまうことがあるのです。
沖縄食堂 島菜では、残念ながらオープン時には若干の化学調味料を使っておりました。天然ダシの味が定まらなかった時期のことです。毎日届く野菜は同じように見えても全て違います。その日の天気や温度、湿度なども違います。定まらない天然ダシを使っては、どうしても同じ味の料理を提供することが出来なかったからなのです。大きな味のブレを防ぐためにやむを得ず、最終の味の調整の段階で微量の化学調味料を使っておりました。また、その段階ではどの食材や調味料の中に化学調味料が含まれているかということを調査する時間もすべもありませんでした。一旦はあきらめてしたった「志」、化学調味料を使わずに全ての調理を行うことは沖縄食堂島菜の悲願となりました。
まず、安定した天然ダシの供給に成功することができました。沖縄食堂 島菜のポリシーに賛同して集まったキッチンスタッフの料理人としてのプライドと努力が、それを成し遂げさせたのです。そして現在では化学調味料を一切使わない料理を提供することができるようになりました。オープンから一年が経過しようとするこの時まであきらめずに試行錯誤を繰り返し、全ての食材の成分を調査し、代替品を調達し、オリジナルの調味料などを開発してきた成果がやっと今完成いたしました。
化学調味料を一切使わない料理を提供することは思っていた以上に大変でした。オープン当時に、最終の味の調整の段階で使っていた微量の化学調味料はもちろん使用するのをやめました。実はそこからの道が長かったのです。ありとあらゆる食品に化学調味料が使われているということを知らなかったので、調べるほどに次から次へとでてくることに驚かされるばかりでした。カレールーやドレッシング、中華の素などに添加されているのは容易に想像できますが、シーチキン、漬物、カラシなどの入っているかどうかが判りづらい加工食品。醤油、味噌、酢などの基本調味料。調べてみるとこれらほとんどのものに化学調味料が添加されていました。
最終的には全ての食材の販売元や製造元に成分表を提出してもらい、化学調味料の入っていない無添加の食材に変更しました。業者の方々にはうるさい取引先と思われたことでしょう(笑)。しかし、皆さん沖縄食堂 島菜の志に賛同してくれて、快く何度も対応してくれました。そしてようやく見つけた代替食材をつかってみたのですが、今までの味が出すことができないのです。例えば上級淡口醤油では、アミノ酸等の化学調味料が添加されていました。俗に言う旨み成分です。無添加の醤油を取り寄せ、味見してみるとこれが物足りないんです。塩辛さしか感じず、攻撃的なとんがった感じがしました。それに昆布とカツオ節を加え、何度も味の調整をした結果、現在のオリジナルのダシ醤油ができあがりました。
ほとんどの食材が化学調味料無添加のものに変えると仕入価格があがりました。それにオリジナルの調味料を作るための天然素材の価格が加わります。そしてその作業のための人件費が想像以上に加わりました。コストは必然的に増加しました。食堂という店舗の性質上、あまり価格をあげることもできません。しかしながら、方向性は間違っていないと確信しています。スタッフの創意工夫で、作業効率を上げ対応しております。今後、無添加メニューを知っていただくことによりお客様からの信頼を獲得し、長いお付き合いが出来るものと思っております。
「どうしてそんな面倒なことをするのか?」と何度もまわりの方々より助言を頂きました。しかし沖縄料理と旬の野菜を特徴とする当店にとって、化学調味料を使うということはコンセプトに合わないと感じるのです。お客様から代金を頂戴するからには手間を惜しんではならない。手間をかけることにより調理スタッフの技術も向上しますし、化学調味料では絶対に出せない「やさしい味」が実現できるのです。ただ、化学調味料を使わない料理は最初は味気ないといいますか、何か物足りない感じがします。ですが、慣れるとずっとこっちの方が美味しく感じるようになります。素材の味が生きていますし、汁も最後まで飲み干すことができます。
はじめに強い志、スタッフの努力、取引業者さんの協力、そして大切なお客様のご愛顧があって沖縄食堂 島菜では全メニューで化学調味料を使わない無添加料理を提供することができました。昔ながらの沖縄の料理を化学調味料を使わない安心の味で楽しんで頂きたい。そんな思いから沖縄食堂 島菜では今後とも化学調味料を使わないことを誓います。
Posted by 茶花スタッフ at 16:35│Comments(0)